2021年10月21日

自由度の下がったWindows 11の新タスクバー

新しいタスクバー


11(左)と10(右)の原寸比較・それぞれ右から2番目は10で入れてあったChromeのアイコン

まずはおなじみ画面下部にあるタスクバーから。
ほとんどの方がご存じでしょうが、スタートボタンの位置がその真ん中寄りに変更になっています。それに加えてタスクバーの高さは1.5倍程度に高くなり、アイコンのサイズもそれにあわせて拡大。個々のアプリアイコンは従来の16*16から24*24サイズのものになっているようです。

これを従来と極力同じで使いたいというユーザーの希望は、叶えられる事はありません。スタートボタンの配置のみは従来通りの左寄せに変更可能。他に「タスクバーを隠す」も使えますが、高さの調整は不可、それからどれくらい使われているかわかりませんが、タスクバー自体の配置変更も不可

注:標準的な設定変更機能で行う場合の話で、レジストリをいじる等裏技的な方法での可否は考慮していません。

「タスクバーボタンを結合しない」が消えた


「タスクバーボタンを結合しない」設定時の10のタスクバー

それだけならまだしも、最悪なのが「タスクバーボタンを結合しない」の設定ができなくなった事。
「結合しない」がむしろ伝統的なWindowsのスタイルなのですが、11ではそのアプリをいくつ開いていようがタスクバー上にはアイコンが一つポツリと表示されるのみで、タスクバーにピン留めしてあるアプリに関しては、そのアプリを今開いているかどうかもぱっと見では見分けにくくなります。
これは「結合しない」で普段使っているユーザーからすれば、これだけで11への移行を拒否する理由になりうる大きな変更で、残しておく事もできたはずなのにどうしてなくしたのか?

右クリックメニュー

他に細かい所では、タスクバー右クリックで出てくるメニュー項目が「タスクバーの設定」だけになっています。 旧OSの頃も正直使っていない項目は多かったですが、ここからタスクマネージャーの呼び出しができないのはなにげに不便ですし、ここにあって全然不自然ではない項目が他にいくつかあったのに、あえてここまで極端にスリム化する必要があったのか?

まとめ

話をまとめると、スタートボタンの中央寄せとタスクバーのサイズアップは、モバイル系【MSのスマホは絶滅したのでSurfaceなどのノートとタブレットの中間的なタッチ操作もできる端末】を念頭に置いてのものでしょう。そういうタッチ操作可能な小さめの端末ではともかく、大画面+キーボード+マウスで使うユーザーには正直うれしくない変更です。
タスクバーは必要以上に高さがありスペースの無駄遣い感がありますし、スタートボタンが左端にあれば、画面も見ずに適当にマウスを左下方向に動かしてスタートボタンをクリックする事ができていたものを、なぜ従来のスタイルを変更して中央を標準にするのか。

スタートの配置に関しては元の左に戻せるからいいようなものの、そういうモバイルファースト・スマホへの擦り寄り的な姿勢は大画面で作業するWindowsユーザーに"さらなる劣化の予感"を感じさせるものであり、そもそも「タスクバーボタンを結合しない」をなぜなくしたのか?太くアイコンを大きくしたタスクバーやスタートの中央配置とあまり相性がよくないからなくしたのではないのか?だとしたら「デスクトップとモバイルの融合」というWindows 8の亡霊が今も呪いをかけ続けている訳で、それぞれに適したUIを望むユーザーにとってははなはだ迷惑な話です。

また、全体的に項目をシンプル化・スリム化しようという意図が感じられ、そこは賛同できる部分もあるのですが、ここまでやるべきではなかったと思える部分も少なからずあります。

(2021/10/28追記)自分は試用中に確認しませんでしたが、使っていた人は当たり前に使っていたであろうタスクバーへのドラッグ&ドロップも使えなくなっているようで、なんかねえ、もう...


さて、タスクバーだけでがっつり1回分の記事になってしまいました。いったいこのシリーズいつ頃終わるのか?


【記事一覧】
その1 「Windows 11」は"9"を名乗るべきだった
その2 Windows 11を無理矢理インストールする
その3 ウインドウ角の丸め
・その4 自由度の下がった新タスクバー
その5 朝令暮改のスタートメニュー
その6 分断のエクスプローラー
その7 Windows 11レビュー(まとめ)

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