2021年10月22日

Windows 11・朝令暮改のスタートメニュー

受難のスタートメニュー


アップグレードなのに10でピン留めしたアプリはすべて無視。10で入れたMS製のExcelはしれっと表示されている
("おすすめ"に表示されているファイルアイコンは10で独自に入れたアプリのもの)


Windowsのスタートボタンを押して表示されるスタートメニュー。プログラムを立ち上げるためのプログラム、いわゆるランチャーです。95以来Windowsの代名詞的存在ですが、新バージョン毎にあれこれ変更が加わり、特に最近はなんでこんなに変えるの?と言いたくなるような大きな見直しを繰り返しています。こういうのは地道に小さな改良を続け、いたずらに利用者を戸惑わせないためにも少し保守的なくらいでちょうどいいと思うのですが、新しいものには人の耳目を集める話題となる何かが必要だという企業論理の一番の犠牲になっているような気がします。

お子様ランチャー

11のスタートメニューは、開くと上部に3×6=18個の大きめのアプリアイコンが並ぶ(スクロールさせてもOKならこれ以上登録可)単純明快な構造。企業で導入しているPCで、パソコン苦手なおじさんが迷わないよう、電源入れると特大のアイコンが枡目状に規則正しく並んだ業務メニューが画面いっぱいに開く、そういった系統のもの。小さな子供にもわかりやすいという事で、このタイプのものを仮にお子様ランチャーと呼ぶことにしましょう。

おすすめとすべてのアプリ

その下には「おすすめ」という名称でファイルのアイコンが並んでおり、これは最近使ったファイル・よく使うファイル的なもののようですが、ファイルを開いたからといって必ずしもそれが表示されるとは限らないぽい。OSの機能としてはどこかにあってしかるべきですが、貴重なスペースを割いてまでここに置くのは激しく疑問。つーか、人様のファイルを勝手に"おすすめ"してんじゃねーよと。

ウインドウ右上には「すべてのアプリ」というリンクがあり、ここをクリックすると画面が切り替わって従来と同様な形式で「よく使うアプリ」が縦並びに表示され、その下にインストールされてあるアプリがずらっと並びます。

単純明快すぎるその構造

以上が基本構造ですが、率直な感想は「単純すぎる」。スタートメニュー史上もっとも"シンプル"(低機能)で、工夫・カスタマイズの自由度が小さすぎる。使うアプリの種類が少ないユーザーであればこれで用が足りるかもしれませんが、多くのアプリをカテゴリ毎に分類して登録し、必要な時に極力短手番で開きたいというようなニーズにはさすがにこれではどうしようもない。

なぜ個々のアイコンをこのように大きなサイズにして、一度に表示される情報量が少ないお子様ランチャー的なものにしたかといえば、これまたモバイル寄りにタッチ操作しやすいようにしました、という事で間違いないでしょう。Windows 8の呪いはここにも。

(付記)
正直この辺りの議論はきのこたけのこ戦争以上に個々人で意見が分かれる部分であって、一方では標準のスタートで必要な事はちゃんとできるようにしとけよという人もいれば、そもそもスタートなんて使わない、キーボードでのアプリ起動こそ至高だという人もいて百家争鳴。話し合えばどれかの意見に統一できるような問題ではなく、考え方や好みは十人十色なのだという事実に気付けるのみ(その上でどのような解決策を提示するかに作り手の能力とセンスが問われる訳ですが、これがベストソリューションかと聞かれたらさすがに...)。拙文を読んで立腹された方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで一個人の勝手な意見だと右から左に受け流していただければ幸いです。


【記事一覧】
その1 「Windows 11」は"9"を名乗るべきだった
その2 Windows 11を無理矢理インストールする
その3 ウインドウ角の丸め
その4 自由度の下がった新タスクバー
・その5 朝令暮改のスタートメニュー
その6 分断のエクスプローラー
その7 Windows 11レビュー(まとめ)

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