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iPhoneは売れるのか?

Appleから発表されたiPhoneを使ったジョブズ氏のデモを動画で見たのは、iPhone紹介の記事を書いた後だったのですが、写真だけではわかりませんでしたが、Mac OS XやWindows Vistaといった、今時のPC用OSにまったくひけを取らないような画面エフェクトが、モバイル端末上で平気で動いているのです。
CPUパワーやメモリー容量・バッテリーへの負担などを考えると、モバイル端末のインターフェースが貧相なのはある程度仕方がないと思っていた私にとっては、このリッチなインターフェースには正直度肝を抜かれました。

では、iPhoneは大ヒットするのでしょうか?価格の問題や、携帯電話の市場の特性といった色々な切り口で分析できるでしょうが、「ボタン」に注目して考えてみたいと思います。

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iPhoneではボタンはホームボタン一つしかなく、タッチパネル液晶での操作が主となり、文字を入力する際も、液晶に表示されたソフトキーボードで行います。
デジタルミュージックプレイヤーのような、あまり複雑な操作を必要としない趣味の製品ならば、iPhoneのタッチパネルによるインターフェースはシンプルで適しているでしょう。しかしスマートフォンのような実用ツールで、文字の入力も頻繁に行うような用途では、必ずしもそうではありません。凹凸のない液晶の上に疑似的に表示された「バーチャルボタン」というものは、決して使いやすいものではないのです。
そして使いやすさの問題以前に、人は「ボタン」というものが大好きなのではないでしょうか?

人はボタンがあれば押したがる、そしてボタンを押した時の「クリック感」がなければ精神的エクスタシーに達する事ができない、きっと人とはそういう生き物なのです。そうでもなければ、あの世にも使いにくいケータイのテンキーで人々が嬉々としてメールを打っている姿が説明できません。
別にケータイを使う大人に限った話でなく、子供達が駅の切符売り場で、券売機のボタンを押させてくれと親にせがむ姿は誰でも目にした事があるでしょうし、フロイトが生きていれば、きっと「ボタン」と「乳首」の相関といった心理学的観点から考察をしてくれる事と思います。

確かにiPhoneのインターフェースデザインはすばらしく美しい。でも使いやすさ・使った時の心地良さにおいては、必ずしも常に最善であるとは言えません。
また、製品として「iPhoneでないとできない事」というのはあるかもしれませんが、他の製品でも大抵同じような事はできるはず。その意味では499ドル(8GBで599ドル)もするiPhoneははっきりと「贅沢品」です。結局iPhoneがどれだけ成功するかは、その贅沢を世の人々がどこまで受け入れるかによって決まるのでしょう。

ちょっと辛口の意見になりましたが、一方で今後モバイル端末の歴史が、「iPhone登場以前」と「iPhone登場以後」という形で語られるようになると言っても決して大げさではないという風に思っています。モバイル端末の開発に携わっている人は、今後好むと好まざるとに関わらず、iPhoneのリッチなインターフェースを意識せざるをえないでしょうから、この先出てくる各社の製品のデザインに多大な影響を及ぼす事でしょう。
この製品がどの程度成功するかによらず、その点においてはジョブズ氏の「革命的な製品」という表現は決して誇張ではないのです。

ジョブズ氏の講演のビデオはここで見る事ができます(英語)。
http://events.apple.com.edgesuite.net/j47d52oo/event/

アップルの「iPhone」は既存の携帯電話キャリアにとって脅威となるか?
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20340534,00.htm

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