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ソニーデジタル一眼「α900」レビュー

ソニーのデジタル一眼新機種・α900を触ってきました。ネットで入手できる情報・サンプル画像等を見た印象とあわせて、感想をまとめてみました(長文注意)。

ソニー α900

最初に

α900は、デジタル一眼では初の2,460万画素のフルサイズセンサーを搭載しながら、ボディのみの店頭予想価格33万円、実売では30万を切る低価格を実現したαシリーズのフラッグシップ機です。
αシリーズのフラッグシップ機としては、ミノルタ時代、フィルムカメラのα-9以来の実に10年ぶりの新製品であり、ミノルタ後期~コニカミノルタ時代、特に時代がデジタルカメラに移り始めて以降の苦難の日々を知る、古くからのαユーザーの一人としては、久々のフラッグシップ機の登場を、素直に祝福したい所なのですが、個人的には色々不満点もあり、辛口のコメントにならざるをえません。不快に感じる方もいらっしゃると思いますが、このクラスのカメラを買えない貧乏人のひがみという事で、ご容赦いただきたく。

触った印象

フラッグシップ機としては非常に小型・軽量で、操作回りは中級機のα700とほとんど同じで、目隠しした状態で、α700だよと渡されたら信じてしまうでしょう。フラッグシップ機の証・視野率100%のファインダーは、さすがにAPS-C機とは段違いの見やすさです。その反面、アイポイントの長さの関係で、個人差はあると思いますがメガネをかけている人の場合、ファインダーの四隅と下部の情報表示をストレスなく見るのは難しいかもしれません。
シャッター音はα700と比べて低く・重く・やや大きい感じで、ミラーショックも大きく感じました。それなりに高級感はありますし、特に悪くはないのですが、銀塩α-9の時に感じた、下位機との「格の違い」は感じられませんでした。
AFはα700より速度・ピントの合う確度共に改善している感じですが、周辺はクロスセンサーではありませんし、中央より落ちるのは相変わらずのようです。それに加えて測距点は全部で9点とα700の11点より減っており、かなり中央寄りの配置のため、実戦での使い勝手はあまり良さそうではありませんし、AFに関してはトータルで見るとα700より改善しているとは言い難いものがあります。

各種機能

他社機の中級機以上では当たり前に搭載されている、ライブビュー機能を搭載しなかったのには驚きました。本当の理由はわかりませんが、ボディ内手ぶれ補整を搭載しているため、センサーの放熱が難しく、熱ノイズの処理が困難だったのかもしれません。インテリジェントプレビューはそれなりに便利そうですが、ニコンなどが採用しているカメラ内RAW現像機能も同時に採用しておくべきだったのでは?
その他、従来機と比べてこれといって目新しい機能はなく、ユーザーから要望のあった機能の中で実現されているものと言えば、レンズ毎のピント微調整機能くらいでしょうか?良くいえば基本にこだわったという事でしょうが、コストダウンのために手抜きしたと揶揄されても仕方のない所でしょう。

画質

ネットで出回っているサンプルを見る限りでは、低感度での解像感はさすがというものがあります。ディスプレイサイズに縮小すると豆粒くらいにしか見えないものが、等倍に拡大するとディティールがはっきりと見えるのは圧巻。一方でフルサイズで2,460万画素というのは、APS-Cセンサー換算だと1200万画素より少し条件がいい程度ですので、高感度ノイズに関しては今ひとつという印象。画素数が多い分、縮小すれば目立たなくなるというのはありますが。

総評

一言で評するなら一点豪華主義。厳密には2,460万画素の高解像度と高品位ファインダーの二点豪華主義の製品であって、その点をどう評価するかでこの機種の見方は真っ二つに分かれるでしょう。高感度をあまり必要とせず、機能も最小限でいい、風景写真などで解像度のある写真の撮れるカメラが欲しい、さらに小さく軽ければなお良しという人には、現時点で最高の1台かもしれません。また、αユーザーにはあって当然の機能ですが、手ぶれ補整ボディ内蔵に意義を感じる人にとっても魅力的でしょう。
一方、Wikipediaにはフラッグシップ機の定義がこうあります。「そのメーカーの象徴的存在となる製品、若しくはメーカーが持てる技術の総力を揚げて取り組んだ製品」だと。その意味ではコストダウンを優先し、従来αシリーズの弱点とされてきたAF・連写性能・高感度ノイズといった部分に目立った改善を施さず、追加機能も最小限で、性能・機能で妥協したように見えるα900がフラッグシップ機を名乗るのはどうなのよ?という気もします。

ソニーの狙いがツボにはまって「売れれば官軍」な訳ですが、ニコンとのシェア争いに危機感を抱いたキヤノンが、来週発表される可能性の高いEOS 5D後継機を、手抜きのない本気のスペックで出してきた場合はそちらに話題を奪われ、既存のαユーザーの購入が一巡すれば、それでおしまい・目先の数字も上がらず、一方でスペックを抑えたために、世間のαシリーズに対する評価もさほど上がらずに将来の売上にもつながらないと、いい所なしの終わり方になる恐れもあります。
最終的にソニーの選んだ方向性が正しかったかどうかを判断するには、各社の製品が出そろい、売上数字が落ち着いてくる数ヶ月先まで待たなくてはならないでしょうが、私の不安が杞憂に終わり、α900の売上が好調に推移し、さらに次の世代の製品でこそ、真にフラッグシップ機の名に恥じない製品が出てくる事を、願ってやみません。

ニュースリリース(動画あり)
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200809/08-0910/
製品情報ページ
http://www.sony.jp/products/Consumer/dslr/products/body/DSLR-A900/index.html

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