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「新型コロナ」の今後を占う

新型コロナによる緊急事態宣言後一週間が経過し、この間どのようにお過ごしだったでしょうか?

毎日のように感染者がいくら増えたのどうのと暗いニュースが続きますが、1日1日の数字にいちいち一喜一憂しても仕方がないし、厚労省の発表しているデータを元に、もう少しマクロな視点でこの騒動の先行きを占ってみたいと思います(楽観的な内容すぎるとお叱りを受けるかもしれません)。

「新型コロナ」の今後を占う

日本の現状

まず下のグラフ1をご覧ください。データソースは厚労省が毎日正午発表のもの(集計のタイミング等によりニュースで報じられる数字とは必ずしも一致しません)で、ここ1か月強の日本全国の感染者数の推移をまとめたものです。

日本
グラフ1(日本):クリックで拡大

水色の棒グラフはその日の新規感染者数、緑色の折れ線グラフはその日からさかのぼって直近7日間の新規感染者数の1日平均(4/7であれば4/1~4/7の7日間の平均:以下7日間平均と表記)の推移。
数字をチェックし始めたのは3月中旬頃でしたが、1日の感染者数が多い日は60人を超え、7日間平均も50人を超えそうな勢いでした。しかしその後横ばい~微減の傾向となり、うまく行けばこのまま減少に転じるのではないかという状況だったのですが、その後また感染者数が増加し、3/30にはとうとう7日間平均は100人を突破。今の時点では毎日平均500人程度の感染者が出る状況となっています。

アメリカの現状

さて、ここでいったん目を転じてアメリカの状況を見てみましょう(グラフ2)。

アメリカ
グラフ2(アメリカ):クリックで拡大

感染が拡がり始めた時期は日本と大差ありませんが、今では毎日の感染者数が7日間平均で実に3万人以上(日本とは検査基準が異なるので、日本の数字と単純比較するのは無意味ですが、死者数を比較すると日本における死者数が累計100人を超えた所なのに対し、アメリカは2万人強。BCG接種の影響だとか色々説がありますが、なぜかはわかりませんがやはり何かが違います)。
それだけの数の感染者と、重症患者に対応しないといけないアメリカの医療現場は想像を絶する困難な状況でしょうし、現場のスタッフ達は真っ暗で出口の見えないトンネルの中でもがいているような感覚かもしれません。ですが、その一方でトンネルの彼方にかすかな光も見えています。

グラフ中で7日間毎にプロットされた赤いポッチリをご覧ください。これは7日間平均が前の7日間と比べて何倍になったかを示しています(平均値同士の割り算ですので、7日間の感染者数合計が前の7日間に比べて何倍になったかと同じです)。
3月の後半では実に9.7倍(=感染者数が対前週で9.7倍になっている)だったのが、その後3.0倍・1.7倍・1.1倍と明らかな減少傾向にあります。つまり感染者数が増え続けている状況なのは確かですが、その勢いは明らかに弱まってきているという事であり、この調子で行けば遠からず新規の感染者の数は減少に転じ始めるでしょう。

元マイクロソフトのビル・ゲイツ氏が、最近「6月頃に一度ある程度普段通りに戻る」との見通しを述べたそうですが、彼の事ですから根拠のない山勘ではなく、恐らくこれよりもはるかに精緻な分析を元にしての事でしょうし、この小学算数レベルの単純な分析からも、彼の発言に一定の信憑性がありそうな事を感じていただけたのではないかと思います。

日本はこの先?

日本に話を戻します。同様に赤いポッチリを見ていただくと、同様に2.8倍・2.4倍・1.9倍と鈍化の兆しが見られます。感染者の多い東京(グラフ3)大阪(グラフ4)を見ても傾向は同様。これだけで断言するのは危険ですが、感染者の急増に危機感を持ち、無用な外出を控えるなどの対策を自主的に始めた人はたくさんおられるはずですし、海外と比べれば限定的ながらも緊急事態宣言によって、人の移動・接触にさらに制約が加わった以上は、その効果でこの先新規感染者数が減少に転じると予想してもおかしくないのではないでしょうか?しかし、そうなったとしても毎日数百人規模の感染者が新たに発生する状況が解消するまでには時間がかかりますし、自粛が必要な状況はまだしばらく続きます。

(追記:4/21に対前週0.9倍と減少に転じました:コメント欄の追記8に解説記載)

この先のシナリオ

では、日本では緊急事態宣言で定められた5月6日になったら自粛を緩和できるレベルになるか?たとえば1日の新規感染者を現時点の500人程度から3月並みの50人程度まで1/10に減らすには?それを達成するためには5月6日までの約3週間、対前週で感染者が約0.45倍というハイペースで減少し続けなければならず、とても現実的とは思えません。1日100人程度の水準でOKという事にしても約0.6倍でこれもつらい。
これでもまだ楽観的すぎる気がしますが、まだあり得そうな数字として対前週0.8倍程度で推移すると仮定した場合は、5月6日頃には新規感染者数は約半減の250人前後となります。それで自粛を緩和できるかといったら正直厳しいでしょうし、自粛をさらに継続して同じペースで新規感染者が減少したなら、今から7週間後、6月頭頃にはようやく新規感染者数は100人程度にまで落ち着きます。

以上の根拠の無い仮定を要約すると、5月6日頃には新規感染者数は現行の1日500人前後から半分の250人前後まで減少。しかし、まだ不十分だとして自粛は1か月延長。そしてその1か月後の6月上旬に感染者数は1日100人前後となり、ようやく自粛の緩和が打ち出される。

かなり大甘で、この通りになるとは正直期待していませんが、似たような道筋を描くとは予想しています。ただ、それが実際に何ヶ月先までかかるかは、ここしばらくの経緯を見てみないとなんとも言えません。
幸運にしてこのシナリオに近い流れになったとしても、まだ完全な自粛解除は無理でしょう。しかし、この程度の水準まで減らす事ができれば、後は新規感染者の周辺をこれまでよりも徹底マークして二次感染者の発生を防ぐ施策を打ち出し、加えてこの先の気温と湿度の上昇が、都合よくウイルス感染拡大を鈍らせてくれれば平和な夏休みを過ごす事も夢ではないかもしれません。

最後に

今回の新型コロナはエボラのように感染者がほぼ命を落とすというような"殺人ウイルス"ではありません。インフルエンザを始め、他にも伝染病はいくらでもあり、毎年それで多くの人達が命を落としていますし、その意味においては恐れすぎる必要はありません。
しかし、死亡率はインフルエンザより間違いなく高いですし、このウイルスのやっかいな所は、当初は「ちょっと熱っぽい・頭が痛い」程度の症状しか出ない事もあり、それでいて感染力はあるのでどんどん周囲に感染を拡げてしまいます。自分自身はかかってもちょっとした風邪くらいの症状ですむかもしれませんが、自分や友人の両親や祖父母にまで感染を拡げてしまい、その方達が万が一にでも命を落とすような悲劇はなんとしても避けたいものです。

恐れすぎずガードは下げず。みんなできちんと対策をすればするほどこの憂鬱な季節は早く通り過ぎます。がんばりましょう。

全国と各都道府県のグラフが表示可能なExcelファイル(都道府県別の明細データ入り)+CSVファイル形式の明細データ :zip圧縮ファイルを解凍してください/加工・転載等ご自由にどうぞ
http://www.dgfreak.com/.../corona.zip

04/21時点の最新データをアップしました。

国内のソースデータは以下のサイトより
https://www.mhlw.go.jp/.../0000164708_00001.html
https://www.asahi.com/special/corona/
アメリカの感染者数は以下より
https://vdata.nikkei.com/...coronavirus-world-map/

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コメント (13)

ブログ主です。
これ以上本文長くしたくないので、コメントの形で追記を書きます。

日本時間16日、アメリカのトランプ大統領が「感染拡大のピークを過ぎた」との声明を出しました。
どこまで発言を信用できるか判断に苦しむ御仁ですが、本ブログ記載のデータをご覧いただければ、アメリカではピークを過ぎた・もしくは過ぎつつあるというのがまんざら嘘ではない事をご理解いただけると思います。
ただしあくまでピークを過ぎただけであって、毎日数万人の感染者が出る状況はしばらく続きますし、死者数も増えていくでしょう。この後経済活動を再開させるための指針を発表する予定だそうですが、すぐに普段通りにという訳にはとてもいかないでしょうし、舵取りを誤れば再びぶり返すリスクもはらんでいます。

トランプ大統領「感染拡大のピーク過ぎた」新型コロナウイルス
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200416/k10012390231000.html

追記その2:ドイツの判断

ドイツが新型コロナ抑制策の緩和に動き出しました。広さ800平方m以下の店舗に衛生を保つ事を条件に再開を許可、大規模イベント禁止は継続・公共の場での3人以上の集会等は禁止等の内容。ヨーロッパでは他の国でも緩和の動きがあります。

感染者数推移グラフのドイツ版を作ってみました。ドイツでは感染のピークが過ぎた事が明確に見て取れます。1日の感染者数が多い日で6千人を超える状況だったのが、ここ数日は3千人を下回り、4/15時点の7日間平均では対前週0.7倍の減少。なお、死者数は累計3,254人とアメリカやイタリアよりは明らかに少ないですが、日本の約30倍(ちなみにドイツの人口は日本の約2/3)です。
ピークは過ぎたとはいえ、まだ毎日2千人程の感染者が新たに発生しており、抑制策を緩和すればその分減少のペースは鈍り、死者も余計に出るでしょう。それでもあえていわゆる"経済優先"の選択を行った。さて、あなたの判断は?

ドイツ、コロナ抑制策の緩和を発表 大半の店舗が営業再開へ
https://www.afpbb.com/articles/-/3278802

追記その3:自粛について

安倍総理が昭恵氏の大分旅行を外出自粛要請前だし、3密じゃないので問題ないと強弁したとか。

自粛とは自ら粛(つつし)むと書きます。要はやるかやらないかは個々人が決める話。コロナ騒動が持ち上がって日本に上陸して、政府から要請があろうがなかろうが、中国であれだけひどい事になっているのだからと、2月頃から自発的に自粛を行っていた方はたくさんおられるはず。
それを総理にせよ夫人にせよ国民に範を示すべき立場の人間がのほほんと国内旅行に出かけ、せめて軽率だった位の反省の言葉も言えないというのであれば、もう誰も真面目に自粛なんてやってくれなくなるとは考えないのでしょうかね。

追記その4:一喜一憂しない

4/18時点の状況です(全国計のグラフ)。7日間累計の新規感染者数の前週からの伸びは1.2倍まで下がり、増加の勢いの鈍化傾向がより顕著になっています。

最近では4月13日(月)から数日間がその前の日と比べてかなり減少していたので、そこだけに注目してぬか喜びしているようなニュースもありましたが、グラフを眺めていただくとわかりますが、なぜか月・火曜日辺りはその前後の曜日と比べて感染者数が少ない事が多く、前日と比べて多いの少ないのという見方では判断を誤るリスクが高いです。また、14日が400人を切ったのに、そこから徐々に増えてきているように見えますが、前週の同じ曜日と比べればほぼ横ばいの数字が続いていますので(これは7日間平均のグラフの傾きでわかります)、「減ったのにまた増えてきた!!」と必要以上に心配するような話でもありません。1日1日の数字に一喜一憂していては精神衛生上よろしくありませんので、そういったたぐいのニュースは話半分で聞いておきましょう。

追記その5:恋はデジャ・ブ

「恋はデジャ・ブ」という古い映画と絡めて、コロナ関連の記事を1本追加しました。

映画の原題はひどい邦題とは似ても似つかない「Groundhog Day」というもので、グラウンドホッグ(ウッドチャック)に春の訪れを占わせるアメリカの実在のお祭りが舞台となっています。笑えて前向きな気分になれる、今のような時に超オススメの恋愛コメディです。

http://www.dgfreak.com/blog/2020/04/20200419corona-groundhog.html

Anonymous:

政府上層部の人たちは、ウィルスが危険じゃないと知っているので昭恵氏のように外出するんですよ。本当に危険だったら、布マスクはしません。

追記その6:ついに前週を下回る

本記事アップからちょうど1週間の明日の数字が出てからと思ったのですがとりあえず速報として。4/20時点の7日間累計の新規感染者数が、ついに前週を下回りました(グラフ上は1.0と表示されてますが前週の0.98倍)。グラフを見た感じだけでいえば、みんな「ピーク超えたんじゃないの?」という印象を持つ事でしょう(全国計のグラフ(4/20時点))。
ただ、いったん下がってもまた増加傾向に戻るかもしれませんし、ピーク超えたなどというのは、せめてもう1週間くらいこのトレンドが加速基調で続いて初めて控えめに口に出せる事でしょう。また、仮にそうだったとしても、当面毎日数百人の感染者が出る事には変わりありませんし、気を緩めるなんてとんでもないです。

追記その7:余談

やっと似たような切り口で数字を分析している大手の記事が出てきたようで、ちょっとほっとした気分です。
(私が見落としただけかもしれませんが)

「鈍化の兆し」に誰も気付いていなかったとはさすがに思えないんですが、
(1)大本営発表を10分くらいで記事にまとめてそれをアップするだけの記者や自称ジャーナリストが大半を占めているのか
(2)とにかく悲観的内容で書いて、それを材料に政府を叩きたいのか
(3)楽観的な内容で書いたら、はずした時に批判が大きいのか
(4)楽観的な内容で書いたら、不謹慎取り締まり隊から「こんな楽観的な記事を書いて、国民の気が緩んだらどうするんだ!!」みたいなお叱りを受けるのか
なんだかよくわかんないですね

追記その8:緊急事態宣言からちょうど2週間

緊急事態宣言からちょうど2週間の状況です。

4/21時点の7日間累計の新規感染者数が対前週で0.9倍(厳密には0.94倍)に減少しました(全国計のグラフ(4/21時点))。少し下がった程度ですが、下がったという事だけでも大きな一歩。直近3日間のみを前週の同じ曜日と比べると0.82倍とそれより低いので、この先さらに減少してくる事も期待できます。

7日間平均のグラフ(緑)を下がり始めてからの傾きを元に延長すると、緊急事態宣言で定められた5/6での1日当りの感染者数平均は、ざっくりと近似直線を引いた場合で400人程度まで減少、強引に楽観的な線を引いてやっと200人程度まで減少といった所。
(今のグラフの傾きがそのまま続けばという前提の話であり、そうなる保証はどこにもありません)

幸いにしてこんな流れになった場合、自粛緩和ができるかといったら正直まだ時期尚早だと思いますが、国民の我慢にも限度があるでしょうし、問題の少なそうな分野に限定して何らかの緩和策を出してくる可能性はありそうです。

追記その9:最新データをアップ

04/21時点の最新データをアップしました(リンクは本文のほぼ最後)。興味のある方はご自由にダウンロードください。

追記その10:医療従事者へ感謝を

大阪府の企画で、医療従事者への感謝の気持ちをこめて、大阪城など4カ所が青くライトアップされました。

これはいい取り組みですね。他の地域も是非まねしてもらいたいものです。アメリカでは医療従事者が出勤する際、近所の住民が拍手で送るといった取り組みがあちこちで行われているそうですが、逆に日本では医療従事者の家族が白い目で見られるような例があると聞くと、さすがに恥ずかしくなります。もちろん医療従事者の方が感染する可能性はある訳ですが、実際の事例としてそれほど多くはないですし、あんたんちのお父ちゃんが日々パチンコに出かけてるのと比べて、一体どっちがリスク高いんやと。リスクがあるのは誰しも同じ事。冷静になって、感謝と思いやりの気持ちを持って接していただきたいものです。

https://www.sankei.com/west/news/200423/wst2004230028-n1.html

追記その11:4/24時点の状況

数字とグラフだけ。
4/24時点の7日間累計の新規感染者数は対前週で0.85倍の減少。ペースはゆっくりですが、新規感染者数は着実に減り続けています。

東京は対前週0.91倍と減ってはいますがさらにゆっくりめ。逆にまだ増加傾向の地域もある訳ですが、東京ががんばってペースを上げてくれないと全体のペースが上がってきませんので、どうかよろしくお願いします。

4月28日の状況を別記事でまとめました。追記をそこで続けて書いていきます。

http://www.dgfreak.com/blog/2020/04/20200428corona.html

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